ヤングジャンプ45周年企画の第二弾企画「野村哲也氏へのインタビュー」が公開されました
そこでは氏が手掛けてきたFF7リメイクシリーズやキングダムハーツに関するかなり突っ込んだものもありかなり面白いものになっています
――野村さんが手がける作品は設定が複雑なものも多いですが、これらはどのようにまとめて現場まで落とし込んでいるのでしょうか。
現場も完璧には理解していないと思います。収録で僕以外のスタッフが声優さんに設定やキャラクターの説明をする際に、スタッフに「こういうことでいいですよね」と確認を取られ、「うん、違う」みたいなやりとりが起きたりもするので(笑)。ただ、それは仕方なくて、キャラクターの描かれていない部分まで理解しているのは自分しかいないので、複雑なストーリーは僕一人で色々な方向に揺らぎながら考えています。逆にスタッフたちからも、自分に対して疑問や指摘は積極的にしてもらうようにしています。
――設定資料集みたいなものがあるのでしょうか。
個人的に忘れないようにメモしているものはあります。描かれていない時代含め、重要人物の足跡とか、今後の展開とか。
――それを共有しているわけではないんですね。
していないです。それは秘密にしています(笑)。ただ、必要なものはシナリオの途中に、突然設定解説を一気に書いたりして、スタッフたちには伝わるようにしています。
――「キングダム ハーツ」シリーズでは、シリーズをまたぐ伏線も張っていると思いますが、これらはどのように把握されているのでしょうか。
さっきも言ったメモの中にも結構書いてはいますが、スタッフに覚えていてもらったり、映像を見るのが好きなのでYouTubeでプレイ動画や考察に目を通したり、でしょうか。基本的にはメモを見返すより、スタッフに覚えてもらって、過去のタイトルでどうなっていたかを聞くようにしています。
――考察動画も視聴されているんですね。「当てられたから変えよう」と考えたり、「全然分かっていない」と思ったりすることもあるのでしょうか。
純粋に面白いと思って見ています。 むしろ、「思っているほど複雑じゃないんだけど」と思うことが多いです。「よくそういうところまで見ているな」とすごく感心することが多いですね。ただ、例えば『FF』シリーズとの繋がりを指摘する方もいますが、双方シナリオライターが違いますし、いくら自分が双方に関わっていても他タイトルとの繋がりはありません。
――「キングダム ハーツ」シリーズは、一作目時点で今の展開までは想定されていなかったと思います。シリーズを追うごとに設定やキャラクターが増えていき、辻褄を合わせるのが段々と難しくなっていくと思いますが、それらは常にアドリブで考えているのでしょうか。
一応、こういう方向には行きたいというのは一作目からあります。先程話した通り、先の展開をメモはしているので。そこに向けて、どうしても合わないところが出てくると、そこはその場でアドリブで考えます。確かに、『I』(「キングダム ハーツ」2002年発売)の時点で詳細までは詰めてはいないですが、次の次ぐらいまではまとめて考えて、そこに向かうように練っています。だから『III』(『キングダム ハーツ III』2019年発売)を作っているときには、当然『IV』(『キングダム ハーツ IV』)のところは含みだし、その先ぐらいまでは考えて全体を動かしていました。
――今年はスマートフォン向けアプリタイトルの『キングダム ハーツ ミッシングリンク』のリリースも予定されています。アプリや携帯ゲーム機で重要な物語を展開することで、ストーリーについていけないプレイヤーが増えてしまうことに懸念はありますか。
あります(笑)。なので、コンシューマーの「キングダム ハーツ』シリーズより随分古い時間軸の話を展開しています。けれど、皆さんが「今度発表されたの『キングダム ハーツ IV』だけど、実質「キングダムハーツ XIII』くらいだ」と言う通り、(ナンバリングタイトル以外も)繋がりは当然ありますし、「キングダム ハーツ」をより深く楽しめるようになるとは思います。ただ、今回は『キングダム ハーツ ミッシングリンク』『キングダム ハーツⅣ』共に、続編の側面より新作タイトルの側面を強くして作っています。例えば新たな試みとして、シナリオに今まで「キングダム ハーツ」シリーズに関わったことのないスタッフに参加してもらっています。最終的には自分が手を入れるんですけど、「キングダム ハーツ」を知らないライターがベースを起こしているという意味で、やらないといけない作品という位置付けにはならないと自分の中では思ってはいます。何せ、『キングダム ハーツ ミッシングリンク』は「空白の歴史」ですから、抜けていることも前提です。知っていれば濃く楽しめる、ということになります。
――漫画の長期タイトルに1巻から追いつくのはハードルが高いのと同様に、「キングダム ハーツ」シリーズもタイトル数が多いため、同じ課題がありそうです。 今後の新規ユーザーの獲得についてどう考えていますか。
教えていただきたい(笑)。前述通り、一応、自分の中では『ミッシングリンク』と『IV』はリセットのつもりではあります。『III』までで一旦終わりというか、リセットする気持ちがあったので、新規のライターを立てたり、これから新たに入りやすいようにという気持ちを込めてロゴまで新調したりしています。
――ロゴの変更はそういう意味があったんですね。
『III』のラストを知っている方なら分かると思いますが、ソラがああいう感じで終わっているのは、ある意味(これまでのストーリーを)リセットするためだったので、『IV』は今までより入りやすいはずです。「キングダム ハーツ」が好きな方が触れば、「これだよ」と感じていただけるとは思うんですけど、なるべく新規の方にもプレイしていただきたいという想いで作っています。
――以前インタビューで、『キングダム ハーツ IV』では「クァッドラトゥム(渋谷に似たフィールド)」で多くの時間を過ごすとおっしゃっていたと思います。完全なるファンタジー世界だった作品に現実寄りの舞台を持ってきた意図を教えてください。
いくつか理由はありますが、僕は、嘘になり過ぎるよりも、「あり得るかもしれない」現実と微妙にずれている世界観が好きなんです。 映画とかでもそうなんですけど、 0ベースの世界過ぎると、そんなに入り込めないです。なので、渋谷がベースになっているけど、現実の渋谷ではないみたいな、そういう舞台に夢を感じてしまうんですよね。全くのファンタジーというよりは、「現実の中の非現実」みたいなのが自分の中ではファンタジー観としてしっくりくるということです。
――漫画においても、例えば『東京喰種』では東京が、『呪術廻戦』では渋谷が舞台になっています。漫画の読者もゲームのプレイヤーも、現実寄りのファンタジーが好きな方が多くいらっしゃるのかもしれません。
多分そうですよね。感情移入しやすいのかなと。それと、中世ハイファンタジーと言われる作品は昔から僕が作らなくても作る人がたくさんいるのでいいかなと思っていました。『すばらしきこの世界』という渋谷を舞台とした作品を2007年に出したんですが、最近は渋谷が舞台になる作品がたくさん出るようになりましたね。みんな渋谷に来ちゃった(笑)。
――確かに、そういう現実(の日本)ベースの舞台の作品が増えた印象はありますね。
「現実の中の非現実」というお話に関連して伺いたいです。『キングダム ハーツ』の冒頭に、「俺には よく 分からないんだ この世界が、本当に、本物なのか。」というモノローグがありますが、その頃から「クァッドラトゥム」は構想があったということでしょうか。「クァッドラトゥム」という名称はその頃はないですけど、構想はありました。いつかここにたどり着くときが来るだろうという長い仕込みです(笑)。
――20年越しに伏線が回収されるというわけですね。
最後の質問です。今、野村さんの中で「キングダム ハーツ」シリーズ完結の未来は見えていますか。夢のない話をすると、いよいよ僕も定年まで数年しかなく、もう定年が先か完結が先かみたいなことになってはいます(笑)。ただ、今作っている『キングダム ハーツ IV』は、完結に向かう物語というつもりで作っています。
野村哲也氏は1970年10月8日生まれなので今年の10月8日で54歳を迎えられます
最近だと定年の定義もあいまいで70歳になってもバリバリ働いている方も多いですが野村氏は60歳を定年捉えられてるみたいですね
キングダムハーツ4は完結に向けた物語となるつもりで作っているとインタビューで答えられてるのでキングダムハーツのナンバリングタイトルは5か6で完結ということになるのでしょうか?
野村氏は以前キングダムハーツは続きが作りたくても誰も続きが作れない終わり方をするとインタビューで答えられていますがどういう幕の閉じ方をするのか発売日からキングダムハーツをプレイしてきたブログ主も目が離せません
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