2010年E3、6月15日(アメリカの現地時間)の任天堂のプレスカンファレンス(当時はダイレクトとは呼ばなかった)で発表されたキングダムハーツ3D(以後KH3Dと呼ぶ)
本作は任天堂に依頼されて作られたとインタビューで野村氏は答えられています
開発期間は約1年でスクエニの大阪チームが開発を手掛け、2012年3月29日に発売しました
キングダムハーツドリームドロップディスタンス
同梱版の熱い争奪戦の事実
KH仕様のオリジナルの3DSとソフトが一体化した同梱版の争奪戦が熱かった記憶がある人もいるにではないでしょうか?
実は本作の同梱版は人気があったから争奪戦が起きたと考える人も多いでしょうが、実は違います
3DSは当時発売から半年も経たず、不振から1万円という値下げを断行し、逆鞘(売れば赤字になる)状態で販売し、任天堂を赤字へと転落させてしまいました
そこで任天堂としては同梱版を売りたくなく、また逆鞘を解消した新型の3DSの発売もKH3Dの発売には間に合わなかったため、ハードの台数の出荷を絞ったために起こった争奪戦でした
現にソフトの売り上げも歴代シリーズに比べると静かで、人気に比例して起こったものではないのです
こういうとファンの方に怒られそうですが、このソフトが発売するころにはKHはソフトを携帯機で乱発し、ブランドの価値を摩耗していました
現にファミ通の読者投票でも『KHを出してほしいハード部門』でも2位のPSPにダブルスコアをつけるぐらいPS3での発売を切実されていました
当時(2011年)のKHの新作を出してほしいランキング
1位 PS3 2034票
2位 PSP 1008票
3位 PSVita 987票
4位 3DS 438票
5位 Wii U 259票
KH3Dが発売する前のランキングですが、この結果に野村哲也氏を始めかなり製作者側もハード選びを後悔しています
電撃プレイステーションの500号の記念号でも本当は据え置き機(PS3)で発売したいと漏らす場面があって、これ以後KHのハードはPSの据え置き機に集約されていきます
禁じ手を使ったストーリー
ブログ主はゲームというか創作物に嫌いな要素が3つあり、その中の一つにタイムリープ物があります
本作はこれをもろに入れてしまって、ストーリーが混迷し、ご都合主義的になり過去作との矛盾や捻じれを生み出し、結果相当数のファンを失うことになります
専門用語も多く、特に時間移動の法則を本作のラスボスである若いころのゼアノートがしゃべりだすときは痛くてポカーン( ゚д゚)してしまいました
ご都合主義ここに極まり
そして本作では過去作の冒険を全否定し、当時は10周年でしたが、その10年は完全に無駄な作業だったとヴィランズから語られるわけです
無能なキャラクタの鮮明化
本作では敵味方問わず無能なキャラクターがあぶりだされることになります
・イエンシッド
ゼアノートの策略を見抜けず、術中にはまり主人公のソラとリクをかなり危険な目に合わせる無能ですが、KHllで敵はハートレスとノーバディと言っておき、その二つを消滅させると本体が復活してしまうことを知りながら、ゼムナスをソラに討伐させゼアノートを復活させてしまう無能采配を取ってしいます
一部ファンからはこいつが黒幕なんじゃないの?と揶揄されてしますぐらいの無能っぷりが本作で明かされてしまいます(笑)
・ゼアノート
BbSで「種は撒いてきた」や「策はいくつも講じておくもの」とご高説をテラに言って強敵感を醸し出していましたが、計画外のことが起きすぎて約95年間(テラに憑依し心と体が分かれていた10年は除く)、動けなくなるという無能・・・。
そしてアクセルにソラに心を移させるのに失敗したときにはなつ「ここまでは決まっていた」はシリーズ屈指の負け惜しみとしてプレイヤーに刻み込まれている
・ゼムナス
llの機関の真の目的がゼアノートの心を移す器を作ることであったと語ります
そこで「力の足りぬもの、意を解さぬもの、謀反を企てるもの、機関に選んだ者たちのほとんどが案の定我らの目的に適わなかった」とのたまいます
これlllで、メンバー総入れ替えだったら有能なんですけど「力の足りぬもの、意を解さぬもの、謀反を企てるもの」をまた選んでいるのでゼムナスが無能なのかゼアノートが無能なのかわからないけど、無能ですね
・プライグ(シグバール)
「計画通り」を連発し有能そうだが、ソラに詰められて見えない絆の力を感じるとビビッて狼狽えてしまい、シリーズで築き上げてきた彼の威厳が大きく損なわれてしまう
しかし後にRe:Codedを映像化するにあたって後に彼の威厳を取り戻す布石が張られることになりますが、KH3D発売当初は彼にそんな重要な役割はなかったと裏付けてしまう本作(笑)
まだまだ無能なキャラはいますが、KH3Dの登場キャラではこれぐらいでしょうか
シリーズ屈指のOP詐欺
3DSの2画面を使った本作のOPはシリーズでも評価がかなり高いもので本作の存在価値の一つですが、OPで流れるシーンは過去作の回想と後のシリーズの予告的なシーンで構成されてるため、本作で見ることがないシーンばかりです
ソシャゲだったら優良誤認になりそうなぐらいのOP詐欺ですよ
ちなみにこのOPはスクエニのヴィジュアルワークスの若手がメインとなって作られており、ヴェルサスのプリレンダムービーを手掛けていた野末武志さんが監修されています
システム面の評価
生かしきれなかったフリーフローアクション
本作制作されていたころ、当時の第一制作部(現第一事業部)は、鳥山・北瀬氏を中心とするFFナンバリングチーム、野村氏を中心とする東京KHチーム、零式を手掛け主に携帯機の開発を中心とする田畑チーム、そしてヴェルサスを手掛けているために東京KHチームの代役としてKHを作っている大阪チームの4つの編成からなっていました。
鳥山・北瀬チーム以外のゲームのレベルデザインは野村氏が考案しており、ヴェルサス、零式、KHとそれぞれ作品ごとに体験できるものを差別化することに重きを置いてゲームを作っていました
たとえばKHは大胆なアクション、ヴェルサスは操作できるイベントシーンで味わえるシームレスなゲーム体験、零式は戦場というものをRPGに落とし込んだレベルデザインという風に作品ごとの色を出すことを野村氏は目指していました
そこでKHは大胆なアクションというレベルデザインを実現するために壁を蹴ったり、ポールやレールを滑って移動したり、大ジャンプをしたりとするフリーフローアクションというものを導入します
ようはアクションを派手に演出したいために導入したシステムです
当時野村氏もかなり自信があり、壁を蹴らないKHはKHに非ずという評価を社内外からもらったとTwitterで言ってました
しかしこのシステムは暴発することが多く、大胆なアクションより雑なアクションを実現してlllではほとんど使われないというか使う場面がないシステムになってしまいました
誰得のドロップシステム
本作の主人公はソラとリクで彼らを交互に操作するゲームです
この操作を変更するタイミングは任意で行えますが、常にドロップゲージというものがあり、これがなくなると強制的にボス戦であろうが、交代するドロップシステムが採用されています
ボス戦でこのシステムが発動するとボス戦はやり直しということになり、一からやり直すことになります
これを大不評で肯定している意見はほとんど見たことがないです
当時野村氏はイベントシーン中でも切り替わると言っていて交代も任意でできず、社内でも大不評であったためかなりの仕様変更を行ったとインタビューで答えられています
ちなみにこのシステムの考案者は野村氏自身です
まとめとあれこれ
本作は一言で言えば『突貫工事』でしょう
KHのやりこみ要素の裏ボスもジュリアスという残念なディズニーヴィランズでセリフも後の作品につながるようなキャラでもありません
シークレットムービーもBbSで言いましたが、隠しというよりエピローグ的な意味合いのものが強く無理やり感が否めないものです
本作でKHは大きく動いたと勘違いする人も多いでしょうが、実はそんなに時間軸的にも大きな変化はなく、今までの冒険は無駄だったというしょうもないはなしです
これこそ夢落ちでよかったんじゃないですかね?
本作の結末は野村氏が雑誌のインタビューで試験なのでどちらかが落ちるかもしれないとかなり大きなネタバレをされています
そして本作は野村氏の魂を注ぎ込んでいたヴェルサスのシナリオと並行して作られていたため、ヴェルサスの都会の主人公であるノクトたちと島国育ちのソラ達の対比を強く意識されていてソラ達のセリフ回りの演出も歴代のものと比べると違ってます
このゲーム発売時ブログ主はヴェルサスの情報が枯渇しイライラぽんしていたので、そんなときに発売された本作に当たってしまってあまりいい思い出がない(ファンの方はすいません)
結果的にlllへの悪い意味でのバトンをつないでしまった本作、OPだけはいいので見てみてください
あと一応ブログ主はPS4版でリマスターされた本作をトロコンしていますが、もう二度とやりたくない
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